2013年6月10日月曜日
コーヒーマジック (前編)
どんなに説得しても、どうしても最後の一歩を踏み出してもらえない。その状態で悔しい思いをした人も、多いはずです。
「いやぁ、そうはいっても今は○○社と契約してるしねぇ……」
「でも、やっぱりダメだよ、こんなこと……」
それではこんなとき、その一歩を踏み出してもらうにはどのように話を進めていけばいいのでしょうか? 今回はそれを可能にする心理学的技術を紹介します。
さて、まずはこんなお話を。
今はすっかり定着している「インスタントコーヒー」。時間をかけて抽出されるのを待たなければいけない「ドリップ式コーヒー」に比べて、粉をお湯に溶かすだけで簡単においしいコーヒーを作ることができる、素敵なものです。
でも実はこの商品が定着するまでには、聞くも涙、語るも涙な苦労話があったのです…!
時は20世紀の半ば。最初にアメリカでインスタントコーヒーが発売されたとき、人々はその便利さに驚き、あっという間に全米中に広がりました。
ところが しばらくすると、次第に売れ行きが下がってしまったのです。
あわてて会社側は、消費者に聞きました。
「どうして買うのをやめてしまったのですか?」
すると消費者たちの大半は、
「風味があんまりよくないから……」と答えました。
これに対して、会社側は驚きました。
「そんなわきゃない!」
なぜなら事前に行った調査では ほとんどの消費者がインスタントコーヒーと普通のコーヒーの差を見分けることができなかったからです。僕も分からないんですけど…。
それでは、いったい真の理由は何だったのでしょうか!?
その本当の理由を調べるために、心理学者ヘアーは次のような調査をしました。
彼は、多くの消費者に対してこう聞いたのです。
「ある女性が、次のリストの商品を買いました。さて、この女性のことをどう思いますか?」
そして、全体をABの2つのグループに分け、Aのグループには「ハンバーガー・パン・インスタントコーヒー・ニンジン……」、Bのグループには「ハンバーガー・パン・ドリップ式コーヒー・ニンジン……」
すなわち2つのリストで違うのは、「インスタントコーヒー」か「ドリップ式コーヒー」か、だけです。
すると 恐ろしいほど明確に結果が分かれたのです。
Bグループの「ドリップ式コーヒー」が入っているリストを買った女性に対しては特に目立った感想もなく、「まぁ……いい人なんじゃん…?」と比較的肯定的な意見が多く出ました。
しかしAグループの「インスタントコーヒー」が入っているリストの女性に対しては、
「怠けモン」 「将来のこと考えてなさそう」 といった、否定的な意見ばかりがでてきたのです。
次回予告:ここから導かれる、一歩委を踏み出してもらうテクニックとは!?
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